2023.06.18更新
AD HOUSEの、オーダー家具はどのようにしてつくっているのか?
今回は、こだわりの家具設計と製作についてのお話です。
AD HOUSEでは、普段から家具をつくっています。
室内と一体化するような家具を提案をするようにこころがけています。ポンと置いたとな、というものではなく、あたかその空間に馴染むようなものにしたい。
この度、弊社OB様からの依頼があり、既存のTV家具にあわせて、カウンターを延長したい、カウンター左端に書棚を追加をという内容です。
2013年に完成したお客様のリビングには、TV家具をつくっていました。2013年当時も希少木花梨無垢(カリン)を贅沢に使ってカウンターや置きテーブルを納品いたしました。
このような長いカウンターのTV家具です。足元には照明も仕込んであります。
置き家具として、花梨で座卓も納品しました。こちらは周囲に1.5ミリの立ち上げしてあり物が落ちないようになっている繊細なものです。
それでは、新たに家具を作るには、どうしているのか?ということを見てみましょう。
計画する側の苦労は当たり前ではありますが、いつもあるのです。
設計デザインの前に家具周囲のことをよく調べる。コンセントを塞いでしまわないか、出っ張りが邪魔にならないか、照明器具と干渉しないか、窓枠や巾木の出が何ミリかと、既存図と現地にて確認します。
そして家具の要望を聞きとりします。この度は電話で要望をお聞きして、その後設計にとりかかりました。
2013年の家具のデザインは、超繊細なディティールの連続で構成してあります。
今回追加する家具も、用途や寸法から割り出すプロポーションをとても気を配り緊張して設計しました。
棚板一段とっても、細かいテーパーの指示をしたり、扉の化粧桟の細さとピッチを継承する納まりを考えます。
製作にかかるまでは、気の遠くなるような木取りを考えて、材料は、ほぼ使い切る設計です。
図面の一部はこのような感じです。こういう図を何枚か書きます。
こちらは、木を如何に効率よく使い切るかを図面化しています。カウンターのような目立つ部分には良い部分を、実際の材をみて決めていきます。今回は材料が不足するので、厚みを半分に割ったりかなり苦労をしました。
扉の化粧桟は部材が8ミリ角ととても小さいサイズです。2013年当時、お客様には花梨は貴重なので端材もは捨てないで置いててくださいねとお渡ししていました。10年を経て、その端材が追加家具の扉桟として使われることになりました。
写真は端材を預かってきて長さをはかって使いかたを考えています。
花梨材は2013年当時よりさらに希少木になってしまっています。良い材料がほしいというときに、いつもお願い聞いていただいている神戸の材木屋さんに、なんとか在庫を確保をしていただきました。それでも、材量が少し不足するので、不足を補うため、本の下で隠れる棚板表面だけを花梨突板で作り、表から見える木口面を花梨無垢にするアイデアです。木口の形状も設計で指定します。実物の棚板木口は写真のように仕上がります。
設計は、建築の大きな建物のプラン計画から構造計画や温熱計算はもちろん、小さな家具のような、1ミリ単位の繊細なディティールまで要求されますので、それなりの知識と設計スキルが求められます。
次回は製作についてのお話をしたいと思います。