コラム
2019.12.01更新
エーディーハウス通信2019年冬号『加湿のしすぎにご用心、冬の住まいの快適湿度』
寒さ厳しい本格的な冬の季節を迎えると、のどや肌の乾燥を防ぐために加湿器を使うことが増えるようです。特に小さなお子さんや高齢者のいるご家庭では、風邪やインフルエンザの予防のために数台の加湿器をフル稼働している例も見られます。しかし過剰な加湿はカビや結露を招き、住まいには大敵です。人も住まいも元気で健康に冬を乗り切るためには、湿度管理が何よりも重要です。今回は適正な湿度の保ち方について、湿度を正しく知ることからお伝えします。
目次
冬の空気は乾燥してない 相対湿度と絶対湿度の違い
冬は空気が乾燥する、と当然のように言われていますが、っこ兵庫県南西部のように冬場晴天の続く地域でも、外気の平均湿度は約68%あります。意外にも湿度は高いのですが、なぜ感想だと言われるのでしょうか。これは「湿度」の捉え方が違うためにおこる間違った言い方で、正しくは「冬は空気中の絶対水分量が少ない」というべきなのです。湿度には「相対湿度」と「絶対湿度」がありますが、通常よく使われるのが相対湿度です。相対湿度は空気中に含まれた水蒸気の割合を%で表します。%が高いほど肌がベタつき、福ければ乾く、ということになります。暖かい空気ほど沢山の水分を持つ能力があるので、水蒸気を大量に含まなければ「乾燥」してしましますが、逆に冷たい空気はわずかな水蒸気量でも飽和状態になるため「多湿」となることが多いのです。1㎥の箱があったとして、その中に3gの水蒸気が含まれているとします。その空気が24℃であれば相対湿度は20%で「乾燥」ですが、このまま気温だけ下げて4℃にすると相対湿度は60%に上がり、湿度は高くなります。空気中の水分量が同じでも、気温によって湿度は大きく上下することがお分かりになったと思います。
冬の室内が乾燥と多湿を繰り返してしまう理由
屋外の空気は湿度が高くても、それをそのまま室内で暖めたら空気が乾燥するのは当然ですね。室内の空気に限っていえば、乾燥するという表現は正しいことになります。ファンヒーターやストーブによる暖房は、灯油を燃やすことで水蒸気が室内に散らばるので湿度は高めになりますが、エアコン暖房は室内の空気を温めて循環するだけなので乾燥しがちです。その上に換気が加わることで余計に乾燥してしまします。現代の住宅はエアコン暖房が主流になっているせいもあり、加湿器の併用が増えていますが、その使い方に問題があります。加湿器は手軽に湿度をあげられる便利なものですが、タンクいっぱいに入れた水が無くなっていく様子に、この水はどこへ消えていくのだろうと思ったことはありませんか。加湿器で発生した水蒸気は部屋中に撒かれて、どんどん溜まっていきます。そのまま就寝時に暖房だけ消すと室内が冷え、行き場をなくした水蒸気は窓際などの気温の低いところにつくと、水滴となって戻ります。これが結露の発生で、湿度は100%という訳です。結露はカビの一番の要因で、住まいと健康に大きなダメージを与えます。これで気密・断熱性能が悪いと結露がサッシの隙間から躯体にも回り込み、家じゅう見えない所まで結露とカビだらけ、ということにもなりかねます。もしエアコン暖房と加湿器を使い、結露も防ぎたいというならば、24時間どちらも止めないことが必要です。
人にとって快適な湿度はウイルスや菌の増殖なし
人の健康を考えると、適正な湿度範囲は40~60%と言われていますが、さらに快適性を加えてみると常に50%前後であることが理想的です。この範囲の湿度はカビやダニの繁殖も抑えられ、住まいにとっても最適な環境になります。よくニュースなどではインフルエンザ対策には湿度60%以上がよいと報道されるせいか、過剰に湿度をあげてします例が多いようですが、インフルエンザウイルスは湿度50%以上かつ気温22℃以上であれば生息できません。
また、インフルエンザは空気感染ではなく飛沫感染なので、湿度に神経質になるよりも手洗いやうがいをする方がよほど効果があります。もし家族でインフルエンザにかかった人がいる場合は、お互いにマスクをしましょう。余計な湿度は家を傷めるだけになるので、十分な注意が必要です。室内には湿度計と温度計が備えられているでしょうか。暖房器具や加湿器の設定温湿度に任せきりにせず、部屋の温湿度が安定しているかどうかきちんとああくできるようにしておきましょう。
その加湿器で大丈夫?使い方に細心の注意を
それでも程として加湿器を備えたい場合は、加湿方式に十分注意して機種を選びましょう。加湿器の種類によってはカビや雑菌が増殖しやすいものがあり、加湿器が原因でアレルギー性肺疾患を引き起こした例や、レジオネラ菌による集団感染で死亡した例まで報告されています。加湿器には水を沸騰させて気化させるタイプと、水をそのまま細かい霧状にするタイプがありますが、危険なのは後者の方。超音波式と呼ばれる加湿器がそれにあたります。超音波式は超音波で水を振動させて細かいミスとを作るので、熱処理が行われない水分が室内に放出されることになります。また超音波は水道水に含まれた塩素を消してしまうため殺菌効果が弱まり、万一タンクに繁殖した菌があれば霧と共に室内にばらまかれてしまいます。超音波式加湿器による死亡例が出た後、その危険性が指摘されてから国内の大手家電メーカーは製造を中止しましたが、輸入品は今も多く販売されています。中には滅菌装置を設けたものもありますが、安価な超音波式にはほとんど付いていませn。一日おきに洗浄掃除すれば大丈夫とメーカーは推奨しているものの、手間のかかることは普段なかなかできないものです。超音波式は安価でデザインがよいものが多く、電気代も安く済むために人気がありますが、リスクが多いことも覚えておかなければなりません。そのほかの加湿器でも安心は禁物です。お手入れは欠かさず行い、常に清潔を保てるように心がけましょう。
快適湿度を簡単に維持する家づくりの条件
こうしてみると、適正な湿度を保つのはとても難しそうに思えますが、高気密・高断熱の住宅ならば湿度管理は簡単なことです。気密・断熱・通気工事がしっかりしていれば、外建の湿度が隙間を通して家の中に入ることがないので、極端な湿度変化を起こすことがないのです。快適な湿度を保つための根本的な対策は、まずは高気密・高断熱にあります。その上で床暖房などの輻射式暖房を24時間行うことが大切です。弊社が標準としているQ値(熱損失係数)1.9以下の高気密・高断熱しようで24時間暖房ならば、あとは洗濯ものの須綱異母姉と浴室の扉を室内側に開けておく程度で快適な湿度が一定に保耐えれます。気にしなくてもいつも快適な湿度が自然に続く、そんな暮らしが理想的ですね。エーディーハウスでは健康で長持ちする家づくりが最も得意です。暮らし方のご質問やご相談など、何なりとお寄せください。
編集後記
ダイエットはもう終わったけれど、運動の継続は大切。ということで相変わらず夜のウォーキングに励んでいる編集者Y。冷たい夜風で顔がひび割れそうですが、夜景を眺めながら歩くことが一種の楽しみになりつつあります。以前はほぼ同じコースを歩いていましたが、最近は気の向くまま徘徊?して、よそ様のおうちの外観を勝手に、くまなく、遠慮なくガン見させていただいてます(笑)そのうち本当に職務質問されるかも😅
中には弊社が設計施工させて頂いたおうちも何件かありますので、そっと様子を見ながら通り過ぎますが、、、いやあ、実にいい。本当にいい。完全に自画(自社)自賛モードでお恥ずかしい限りですが、やはり他のおうちとは一線も二線も画した美しい佇まいでございますよ。夜になってしまえば、その家がどんな姿なのかわからなくなるよ。そう思っていますよね。編集者もずっとそう思い込んでいました。でも違うんです。周りが暗いから家の輪郭がふわっと浮かび上がるように見えて、案外よくわかります。家の奥行とか、材質も。いい感じに明かりが漏れた窓や、ほのかに照らしている庭灯なんかがあると本当に綺麗。人は見た目が8割というベストセラー本がありましたが、建物も同じです。丁寧に作られていることが間違いなくわかるし、きっと大切に住まわれているんだろうな。そう感じるおうちって本当に少ないんですよ。こう言っては何ですけどね、家の外観はサイディングをぼーんと張り付けておしまい。というのが最近のトレンドのようですが、なんとも味気ない。どんなに大きなお屋敷でも薄っぺらく見えるし、何より断熱性なさそう、絶対寒いでしょ。あら偏見かしら(笑)その家の品格というのは夜の姿で一番よくあらわれるのかもしれない、と一人でまたあれこれ思いを巡らせながら今日も歩いております。ダイエットをきっかけにいろんな発見があった、なかなか面白い一年でした。
来年も何かに挑戦しよかな。