コラム
2023.04.01更新
『緊急!あなたの家は大丈夫?今すぐしよう、防犯対策』エーディーハウス通信2023年春号
昨年末頃から続いている広域強盗事件が社会に大きな不安を与えています。防犯対策への関心が高まっているこの頃ですが、このような近年の強盗事件は手口が非常に荒いのが特徴的です。被害を防ぐためには住まいと暮らし方の両面で防犯対策を強化しておく必要があります。どのような点に注意して備えたらよいのか、最新の防犯事情についてお伝えします。
目次
犯罪の質の変化に合わせて 防犯対策を見直そう
少し前までは住宅への侵入犯罪の手口といえば空き巣が主流でした。侵入手口が空き巣であった割合は約75%を占め、残りの25%は居空き(住人が別の部屋にいる間)と忍び込み(住人が寝静まった夜間)でしたが、いずれも家人に気付かれないように密かに犯行に及ぶケースがほとんどでした。しかしこれはいわば「窃盗のプロ」が行う方法です。最近では寄せ集めの素人集団が住人に危害を与え、力づくで押し入るという凶暴な例が頻発しています。むしろ人が居た方が手っ取り早く金品の在り処を聞き出せることから、抵抗力の弱い高齢者が住む家が特に狙われやすくなっています。犯罪の形に変化が見られる今、これまでの防犯対策では通用しなくなっているところ、また誤った思い込みもあるようですので、家族の皆さんで一度見直しをしておきましょう。
一軒家は狙われやすい!まずターゲットにならない工夫を
一軒家が狙われやすい傾向にあるのは今も昔も変わりません。一軒家は道路に面しているので敷地内に入りやすく、簡単に玄関まで行くことが出来てしまうからです。更に玄関先にインターホンがある家の場合は、敷地内に人が入り込んでも不自然に見えないため侵入を許してしまいがちです。まずは敷地内に簡単に入らせないようにすることが大切で、インターホンは玄関と距離を保てるように門扉に取り付け直すか、門扉がないならインターホン機能を備えた門柱を設置するなどして玄関に近付きにくくしましょう。また、門扉の鍵は気休め程度と思って普段はあまり施錠していないというご家庭も多いようですが、面倒でも出入りの都度しっかり鍵を閉めましょう。公道に面したところで住人でもない人物が門扉の前に訳もなく立っている状態や、こじ開けようとしていれば目立つので犯罪者は避けるようになります。門扉の鍵は外側からサムターンに手が届かないような場所にあればなお防犯性が高まります。門扉の鍵は自分で後付けしてもよいのですが、市販のワイヤーロック等は解錠されやすいので防犯効果を高めたいならば専門業者に依頼しましょう。また、高い塀は敷地に入りにくいので一見安全と思われますが、いったん乗り越えられてしまうと外から見えず、目隠しとなってしまい逆に犯行を行いやすくなります。塀は高くても140cmまでを目安にしてあえて外からある程度家の様子が分かるようにし、植栽もその高さまでに留めるように心掛けます。犯人は必ず下見にやってきます。その時点で入りにくそうだと諦めさせることが重要です。
被害に遭ってからは遅い しっかり予防で徹底ガード
万一敷地の中に入られた場合でも、室内に侵入されなければ被害には遭いません。統計によると、実際に窃盗犯が侵入口にした箇所は「窓」が圧倒的に多く、実に7割が窓から侵入したことが判明しています。ひと昔前までは玄関の鍵をピッキングで開ける犯行が多かったことから、ワンドアツーロックと呼ばれる扉に2ヶ所以上の鍵が推奨されていましたが、特にこの数年は技術が必要なピッキングより簡単に割れるガラス窓を狙った手口が急増しています。ガラスが破られたら後はスピード勝負で犯人の思うままになってしまいますので、とにかく割られないようにすること、そして割れるまでに時間がかかるように工夫しておく必要があります。
統計を見ると犯人は侵入に5分以上かかると7割が諦めると回答しています。5分かかるとその間に周囲に気付かれ通報されてしまう恐れがあることから、5分がタイムリミットと認識されているようです。つまりガラスは5分以内で割られることがないようなものにして、とにかく侵入を止めさせるようにすることが大切です。
よく防犯カメラがあるから大丈夫、セキュリティシステムに入ったので安心だと言う方もいますが、防犯カメラはただ映すだけで緊急時に対応できず、セキュリティシステムは異常を感知してから警備員が駆け付けるまで時間がかかります。それまでに侵入されてしまっては危険から逃れられません。まずはガラスが破られない対策を立てましょう。
主な侵入経路は「窓」が圧倒的 ガラスの防犯性能を高めよう
前回のエーディーハウス通信では断熱窓についてお伝えしましたが、この断熱窓のような2重、3重ガラスの窓には防犯効果があるのでしょうか。ガラスが何重にもなれば単板ガラスを割るよりも時間はかかるので、多少の時間は稼げますが、ガラスである以上割れないことはありません。ガラスの破壊防止には、窓ガラス用防犯フィルムの活用が最も効果的です。ただ簡易な防犯フィルムならばホームセンターなどで購入できますが、確かな防犯効果を得るには「CPマーク」の付いた製品を「資格を持つ施工技能者」が貼らなければなりません。CPマークとは防犯性能の高い建物部品に付けられるマークのことで、防犯性能試験で5分以上侵入を防ぐことができると認められたものに与えられています。例えばCPマーク付きの防犯フィルムが貼られた窓ガラスは、バットで複数回フルスイング打撃しても割れず、アイスピックのようなもので攻撃しても貫通しません。CPマーク付きのフィルムが施行された窓にはシールが貼られますので、もし犯人が侵入を試みようとした場合、このシールを目にすれば諦める可能性が高くなります。
CPマーク製品は高価な上に専門の施工業者に依頼することになるので費用は掛かりますが、確実な効果が得られることと安心感は何にも代えられません。ネットで市販の防犯フィルムを自分で貼る方法が紹介されていたりしますが、ガラスとの相性が悪いとガラスが日射熱で割れてしまう恐れがあります。くれぐれも勝手に貼ることがないよう、住まいを建てた時の住宅会社かガラスの専門業者に依頼して下さい。
安全な地域はないと心得て 防犯意識を高めておこう
郊外に高齢の親が住んでいるというご家庭は、是非ご実家の様子を確認しに行って下さい。郊外は地元のコミュニティが比較的しっかりしていているので不審者は目立ちやすいのですが、周囲に住居がない場合は大きな音を立てても気付かれにくいので逆に狙われやすくなっています。また今まで家に鍵をかけたことがないという平和な土地柄では防犯システムとは無縁の生活をしていること、伝統的な日本家屋は縁側や勝手口のような広々とした開口部が多いのが分かっているので、入りやすいと考えられているようです。特に古い扉や窓などは壊しやすいので侵入を許してしまいがちです。住まいに隙間や弱いところがないか、ガラス窓の保護は出来ているか点検し、修繕や交換をするようにして下さい。これを機に断熱化を兼ねた開口部のリフォームをしてしまうのも一策です。まさかここには来ないと思っていても、インターネットの中では次に狙う所として犯罪者同士で情報が共有されているかもしれません。事実、強盗犯罪は防犯対策が進んでいる都市部から地方に場所を移しつつあります。とにかく周りから見て隙を感じさせないこと、侵入被害に遭いそうになっても途中で諦めさせる家にすることが大切です。
編集後記
Yさん、いつエーディーハウス通信を書いているんですか?というご質問がありました。はい、いい質問ですねえ(笑)だいたい深夜、家族が寝静まった後にひっそりと、です。普段は通常業務があるし、休日は溜まった家事の片付けか遊ぶかで終わり。どうも日中は落ち着いて文章を書く気に全くなれなくて、中学生の頃から作文書くなら夜中と決めているので別にいいんですけど、最近は歳のせいもあり半徹夜はツライ…それに困っていることがありまして、どうしてもやらなければいけない仕事がある時に限ってなぜか掃除や片付けを猛烈にしたくなるんです。掃除や片付けはあまり得意じゃないのに不思議ですよね。何も今しなくても。先にしなくちゃいけないことがあるのに。と頭では分かっているのですが、机の上の整理を始めたり全く関係ないコンロやシンクを磨き始めてみたり。今回も同じく深夜に周囲の雑巾がけからスタート(笑)実はこの現象、ちゃんと心理学と脳科学で明確になっているそうなんです。心理学的には現実逃避によるストレス解消法のひとつとか(汗)やらなくてはいけないことから避けたくて、わざと別な有意義なことをして自分に言い訳してるそうですよ(大汗)脳科学的には、目の前が散らかっていると視覚から入る情報が多すぎて脳に負担がかかるため、脳が片付けを促している状態…なるほど。そういえば学生の頃も、テスト前にまず掃除片付けばかりしていたことを思い出しました、あれも現実逃避行動と脳からの片付け命令のせいだったのね(笑)いえ、エーディーハウス通信から逃避したい訳ではありませんよっ。要はいつも奇麗にしておけば、気持ちよくスタートするはずなんだきっと。この春は片付けを頑張るつもりなんです。何しろ末っ子長男の大学受験がやっと終わり、受験関連の資料や参考書が山積みのまま。一刻も早く目の前から消えて欲しいと、正に脳が命令してます!(笑)早く心機一転して、次号はゆとりあるスケジュールで取り組みます。乞うご期待。