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コラム

2024.01.01更新

冬こそカビにご用心、寒い時期の徹底湿気対策 ADハウス通信2024年冬号

冬は空気が乾燥している、とよく耳にするせいか、カビとは無縁の季節と思われているようです。しかし冬は生活習慣の中で気づかないうちにカビの原因を作っている場合があり、いつの間にか部屋がカビだらけということも実は多いのです。カビは人の健康に重大な悪影響を及ぼすため、発生を徹底的に防ぐことが大切です。寒い時期こそ必要な住まいのカビ対策についてお伝えします。

あなたのお家は大丈夫?冬の住まいは想像以上に高温多湿

カビが発生しやすい時期と聞くと梅雨を連想します。確かにカビは温度25℃~30℃、湿度60%以上で最も発生するので、梅雨時は危険です。ただ、蒸し暑い環境は非常に不快なため、この時期はエアコン等で室内を除湿するなどして、湿気が溜まらないように努めているご家庭がほとんどではないでしょうか。反対に冬は空気が乾燥しているという思い込みから、体調管理やウイルス対策のため加湿器を利用する方が多くなります。また、石油ファンヒーターなどの燃焼型暖房器具は、温かい空気と一緒に大量の水蒸気を放出します。基本的には使った灯油と同じくらいの量の水蒸気がばら撒かれていると考えていいでしょう。他にも盲点なのが、冬のお布団です。大人が一晩使用した布団には、約300ccもの水分が含まれています。子供は体温が高いせいもあり、更にその倍の汗をかいていると言われています。夏も寝汗はかきますが、厚い布団を掛けている訳ではないので水分は自然と蒸発しています。しかし冬はしっかり掛けて寝るので、布団の中に湿気がこもったままになってしまうのです。

よく布団をすぐ押入れに仕舞ったら駄目だと言いますが、それはたくさんの湿気を含んだ布団が風通しの悪い押入れに入れられると水分が逃げず、カビの温床になりやすいからですね。外は寒くても、家の中は暖かく湿った空気だらけという現象は案外多く起きています。

健康的に過ごせる湿度を保ちカビ発生の原因を断つ

そもそもカビはどのような条件で発生するのでしょうか。カビは暖かく湿った場所を好みますが、4大要素と言われる条件が揃うと最も生えやすいことが分かっています。

気温が低ければカビは出ないように思えますが、そういえば冷蔵庫の中でもカビを見かけることがありますね。またカビは人の食べ物だけでなく、木やプラスチック、ホコリに至るまで家の中のありとあらゆるものを栄養源にして増殖します。そして酸素も必要です。つまり、人間が必要とするものと全く同じ内容で生育するので、住まいの中でカビを死滅させるのは不可能です。しかし、カビが生える4大要素のうち、一つでも欠ければ発生はぐんと抑えることができます。その中で唯一コントロールできるのが湿度。カビは相対湿度60%以下になると活動が急激に鈍くなります。一方、人が快適に過ごすことができる湿度は50%前後。その湿度帯はカビの他の様々なウイルスの活動も抑えられ、呼吸疾患やアレルギーをお持ちの方の症状が落ち着く最適湿度です。過剰な湿気にしないことは、カビはじめ有害な物質から健康を守るための非常に重要なポイントになります。

年々増え続ける健康被害 現代の原因はカビとダニが主流に

住まいのカビがなぜよくないのか、理由は多く挙げられます。まず吸い込むことで発症するアレルギー反応に、過敏性肺炎、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などがあります。体内に取り入れられた量が多くなるほど症状が重くなるのは当然で、持病をお持ちの方や免疫力が弱いお子様や高齢者の方にとって命に係わる問題です。またシックハウス症候群の原因であることも分かっています。シックハウス症候群とは新建材から発散された化学物質による健康被害のことでは?と詳しい方は思われたかも知れませんが、近年ではカビやダニなどの微生物による空気汚染がシックハウスの最大の要因になっていることをご存じでしょうか。化学物質によるシックハウス症候群が明らかになって以降、原因のホルムアルデヒド系建材は厳しく規制されており今は使われていませんが、皮肉にもそのホルムアルデヒドはカビを防ぐ防腐剤でもありました。そのカビを防いだ薬剤がなくなったことで、今度はカビが生えやすくなり、更にカビを好物にするダニまでもが増加傾向にあります。シックハウス症候群が化学物質によるものから生物由来の汚染に変わりつつある中、合わせるかのように小児喘息の発症例が爆発的に増えており、カビとの因果関係が指摘されています。健康の大敵のカビを発生させない、発生する環境をつくらないことが何よりも大切です。

結露あるところに必ずカビあり 既に繁殖中と覚悟するべし

うちはエアコン暖房なので、やはり乾燥していますよね?という質問も多く寄せられます。そのような場合は是非湿度計で湿度を確かめてみて下さい。40%を下回っていればもちろん加湿が必要ですが、問題は夜寝る時です。加湿状態のままエアコンを切っていないでしょうか。室温が下がると室内に余った水分は行き場所を失い、冷えた部分へと移動していきます。特に断熱されていない窓は恰好の避難場所で、水滴へと姿を変えて現れます。これが結露の発生です。結露が発生している場所は湿度100%に達しています。この時湿度計は50%くらいなのに、ということがありますが、それは湿度計の置いてある場所の湿度であって、家の中で温度差が生じていると冷えている場所と暖かい場所では湿度が異なります。結露が発生している場所は水分をたっぷりと蓄えており、既にカビが増殖を始めている状態です。結露の放置は重大な健康被害に繋がり、住まいも劣化する可能性が大きくなります。よく、結露を防ぐには窓を開けた換気が有効だという話も聞きますが、確かに窓を開ければ室内の水分は一時的に外へ放出されるものの、同時に室温が下がってしまいます。結露を換気で防止するならば、ずっと窓を開けたまま暖房を続けなければならず現実的ではありません。結露の根本的な解決法は、まず一番に過剰に加湿しないこと、そして家の中に温度差をつくらず、常に室温を一定に保つことに限ります。

どのくらいカビが生えやすい?チェックで判断、すぐ改善!

意外にも高温多湿になりやすい冬の住まいの中で、普通に生活しながらカビの繁殖を抑えることはとても難しいことです。そこで必要になるのが住まいの高気密・高断熱化です。気密性が高いと風通しが悪そうだから、逆にカビが生えやすいのではと誤解されることがまだ多いのですが、高気密とは隙間がないという意味で、換気は計画的に行われており綺麗な空気が絶えず循環しているので、風通しの心配もなければ息苦しく感じることももちろんありません。反対に気密が低いと家中は隙間だらけで空気が勝手に出入りしてしまい、換気が効率的に行われません。しっかりと高気密化した上で、室内外の熱の出入りを遮断するように高断熱化することが重要です。断熱性能が高い住まいでは家中に温度差がなく、ガラスの表面も冷えることがないため結露が発生しません。温湿度が安定するため、日々暖房温度や湿度の調整に神経を使うこともなくなります。今のお住まいは高気密・高断熱化されているでしょうか。高気密・高断熱されていてもその程度が不明の場合は次の表をご参考下さい。症状が一つでもあれば性能が低く、既にカビが蔓延している可能性があります。ご家族の健康のためにも、早めの改善をお勧めします。

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